オフィスにパーテーションを設置する際に確認しておくべきことを解説します。
「ハイパーテション」と「ローパーテション」の違い
パーテーションは大きく分けて「ハイパーテション」と「ローパーテーション」の2種類があります。
用途によって使い分けましょう。
「ハイパーテーション」とは
天井まで届く施工型のパーテーションです。
天井の高さに合わせて、部材を組み合わせて設計することが可能です。
空間を完全に区切りたい場合や室内に新しく部屋を作りたい場合に利用します。
「ローパーテーション」とは
一般的にイメージされるような仕切り板で、工事施工不要の天井まで届かないタイプ、衝立型、置き型のパーテーションのことです。
簡易的な区切りや目隠しに役立つ他、デスクに置けるような小さいサイズのものから高さ2mを超えるものまで様々なバリエーションがあります。
パーテーション設置は消防法に注意
パーテーションを設置する場合、建築基準法や消防法が関係してくるためイメージ通りのレイアウトが実現できるか事前確認が必要です。
消防法の届け出が必要になる場合
パーテーションや壁で空間が完全に囲まれていて1つの部屋になっている場合、消防法の届け出が必要になります。
天井のスキマがポイント
パーテーションを利用する場合、防音対策などを考慮してなるべくスキマを開けたくないと考えるかもしれません。
しかし、天井まで届くパーテーションで間仕切りして部屋をつくってしまうと、建築基準法や消防法でも部屋としてカウントされてしまうため、届け出が必要な上に、報知器、感知器、スプリンクラーのような防災設備の設置も必要になります。
ハイパーテーションの場合、欄間(らんま)といって天井付近に通風用の開口部をつくることで、消防法の手続きや報知器などの設置は不要になります。
開口部は高さ20cmほど必要で、報知器などとの距離によっても異なるので確認しておきましょう。
ローパーテーションの場合でも、天井が極端に低い場合は注意が必要です。
また、天井から吊るすタイプの間仕切りにも消防法が適用される場合があります。
不燃材料がベター
多数のパーテーションパネルを連結してレイアウトを組む場合、不燃材料や難燃材料を選択すると良いでしょう。不燃や難燃については国によって認定されます。
ハイパーテーションや天井付近に達するローパーテーションを使用する場合、建物(ビルなど)によっては防炎素材の使用が義務付けられているため確認が必要です。
その条件は例えば階数によって以下のように決められています。
- 3階以上で、延べ面積が500㎡より広い
- 2階で、延べ面積が1000㎡より広い
- 1階で、延べ面積が3000㎡より広い
上記にあてはまる場合は、不燃または難燃材料のパーテーションが必要です。
不燃材料として認定されているものはスチールパーテーションが多いです。
アルミパーテーションの場合不燃ではないものもあるので注意が必要です。
通常、ローパーテーションは対象外となっていますが、広範囲に連結設置する場合は、火災時のことを考えると従業員を守るためにも不燃、難燃のものが良いでしょう。
パーテーションの価格相場
パーテーションを初めて購入するときの価格イメージは1枚数千円というイメージだと思いますが、パーテーションは意外と高額です。
価格によってどのような違いがあるのかも見ていきましょう!
オフィスメーカーのパーテーション相場は1枚5万円が標準
コクヨ、オカムラ、イトーキ、ウチダというような、オフィスメーカーのパーテーション(幅900x高1800mm)の価格は1枚5万円前後が標準的な価格になります。
サイズが大きいほど高額になり、ガラスパーテーションなど特殊な素材を使っている場合は1枚10万円にもなります。
小規模オフィスで一般的なレイアウトを作ろうとするだけで10万単位の金額がかかります。
一方、Amazonなど一般通販サイトで購入できるようなパーテーションの相場価格は5000円~3万円程度になっています。
パーテーションの値段が高い理由
パーテーションが1枚数万円もする理由は、連結システムと耐久性・安定性を維持しなければいけない点にあります。
パーテーションを選ぶときの指針にもなるので、確認しておきましょう。
連結強度
パーテーションの幅は1枚90cmが標準で、レイアウトによっては、何十枚ものパネルを連結することになります。連結部が多ければ多いほど揺らぎやしなりが起きるので、強力かつ簡単な連結システムつくる必要があります。
結果、連結部は複雑なパーツ構成になり、設計や製造に費用が掛かります。
5000円前後の激安パーテーションの場合は、金具を引っかけるだけの簡易連結やそもそも連結できないような商品が多いです。
連結強度の低いパーテーションは、地震や長年の劣化により倒壊する危険があるので使いどころをよく考えましょう。
耐久性
パーテーションは、他のオフィス家具と違い置くだけの家具です。
置いているだけで役目を果たすので、使用年数は長くなります。
年数が経つにつれて各パーツはどんどん劣化していくので、劣化に耐える耐久性の高い素材を使用しなければなりません。
また、オフィスメーカーのパーテーションの場合は、スチールパネルなどの防炎素材を使用している製品も多いため、価格が高額になります。
ローパーテーションは、基本的に消防法と関連がないので防炎素材必須ではありませんが、数十枚のパーテーションでレイアウトを組む場合、被害を最小限にするためにも防炎素材を検討してみましょう。
安定性
パーテーションは簡単に言うと、ただの1枚板です。
1枚板というと5000円でも高い気がしますが、1枚板を垂直に安定した状態で立たせるのは簡単ではりません。
パーテーションは安定性を維持するために連結や脚部パーツの取り付け部が工夫されており、また、パネル自体も厚みのあるもの(30~60mm)が使われています。
このように安定性を維持するためにコストがかかっています。
パーテーション工事はハードルが高い
室内に固定するようなパーテーション工事をするとなると、パーテーション代+人件費を含むため費用が高額になりがちです。
施工型ハイパーテーションでは部屋を区切るだけでも50万~100万円程度の予算が必要です。
また、パーテーションを設置するために天井、壁、床に穴をあけるような工事が必要な場合、建物の管理会社に許可をとる必要があります。
ほとんどの場合、許可はとれないので工事が必要なパーテーション設置はハードルが高くなります。
貸しオフィスではなく、自社ビルでなければ工事は厳しいでしょう。
工事費用をカットしたいのであればローパーテーションがおすすめです。
ローパーテーションで簡易的に部屋を区切るのであれば、5~10万円程度で十分です。
ただし、ローパーテーションの種類やレイアウトによっては、安定性を確保するために床や壁にボルトで固定する作業が必要な場合もあります。
ローパーテーションのレイアウト注意点
まずレイアウトを決めなければ、パーテーションを購入することはできません。
ローパーテーションの場合は、レイアウトによってパネルサイズ、パネルタイプ、機能が変わってきます。
最適なサイズを選択する
レイアウトを決める前にパーテーションの標準的なサイズパターンを知っておきましょう。
幅に余裕を持つ
パーテーションのサイズには規格のようなものがあり、幅900mmが最も一般的なサイズです。
レイアウト決めるときは1m単位で計算しがちですが、いざ購入しようとするとパネル幅のバリエーションが限られているタイプもあるので、レイアウトにある柔軟性を持っておくことが大切です。
「〇mがベストで〇cmまでのズレは許容範囲」というように決めておけば、商品の選択肢が広がります。
用途による高さの目安
パーテーションの高さは大きく分けて3つあります。
高いか低いかで効果が違うので、用途によって高さを決めましょう。
高いパネルの効果
プライバシー保護
集中
低いパネルの効果
コミュニケーション
人の動きを把握
高さ120cm
高さ1200mmのパーテーションはチェアに座った状態で顔が見える程度の高さになります。
- デスク周りに設置して手元を隠す
- 顔が見えるので社員同士で気軽にコミュニケーションがとれる
- 座りながら周囲を確認できるので、来客にいち早く気付く
高さ150cm
高さ1500mmのパーテーションはチェアに座った状態で顔が見えない程度の高さになります。
- 集中して事務仕事ができる
- 立ち上がることでコミュニケーションがとれる
- 社員同士で動きをある程度把握できる(誰がどこにいるか)
高さ180cm以上
高さ1800mm以上のパーテーションは立った状態でも体が完全に隠れる程度の高さになります。
- 集中して仕事ができる
- 来客者などから目隠しができる
- 防音対策になる
180cm以上のパーテーションは目隠しとしての役割を十分果たすので、人気のサイズですが以下のようなデメリットもあるので、レイアウトを工夫する、高さの違うパネルを使い分けるなど検討しましょう。
- 照明や空調の障害になる
- 圧迫感がある(狭く感じる)
- 災害時に被害が出やすい
コーナー連結で安定させる
ローパーテーションをちょっとした目隠しや間仕切りとしてしようする場合、直線でレイアウトを考えがちですが、直線連結のみのパーテーションは非常に不安定なのでおすすめしません。
パーテーションを連結する場合は、可能な限りコーナー(角)を設けるレイアウトにしましょう。
レイアウトによる安定性の違いは、
H型>十字>T字>コの字>L字>直線(脚付き) となっています。
コの字型やL字型レイアウトの場合でも、支えになっているパネルの幅が短い場合は不安定になります。
ドアパネルに注意
パーテーションレイアウトで個室風の部屋を作る場合、ドアを導入したくなります。
しかし、ローパーテーションでドアパネルを導入するとレイアウトが複雑になり、全体の価格も高額になりがちです。
ドアパネルは内開き、外開き、スライドドア、鍵付き、鍵なし、など種類がかなり多い上に、ドアタイプによって、必要な通路幅やドアと連結するパネルのレイアウト条件まで変わってきます。
また、商品のシリーズによって選べるタイプが決まっていたり、安いパーテーションではドアの開閉に耐えられないためドアパネルを販売していない場合もあります。
ドアパネルの必要性やタイプをよく検討してから購入しましょう。
導入しやすいローパーテーション
消防法、価格、レイアウトといった視点からパーテーション購入前設置前の注意点について解説していきました。
施工型ハイパーテーションの場合は、間仕切り、防炎、防音、として高い効果を期待できますが、高額な費用や複雑な手続きが必要などハードルが高いです。
衝立型のローパーテーションの場合は、選択肢が多い上に低コストですが、各メーカーから多彩な商品が展開されているため、イメージ通りのパーテーションを見つけるのは苦労します。
イメージの通りのものを購入できるように、おすすめパーテション記事をまとめているので、お気に入りを探してみてください(*´▽`*)
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